醤油つくりの話 麹つくりがたいへんじゃった。めんどうなんじゃ。
昭和32年前後まで、家では醤油を作っていた。土間に置いていたその木製の機械からは醤油がポットリポットリと落ちていた。それは茂平のどこの家も同じだった。
(母の話)
小麦を植え、大豆を植え
麹を作り
彼岸を境に麹をつくる。時候が寒うてもできん。
長屋へいれて。熱うても、寒うても腐ってしまう。
その頃(彼岸)になると何処の家からも炊く匂いがしょうた。豆のかざがする。
空臼で搗きょうた。
実家のトノばあさんは村中で評判のええ麹をつくりょうた。
おばあちゃんは(実家へ行ったとき)習うて、真似をしたらエエ麹ができるようになった。
どこの家にも甕にいっぱい「ひしお」を作っておいとった。
途中から鴨方で麹を作ってくれるとこができだした。
醤油を搾る
麹を1年寝かして、塩と水をいれて、混ぜくるんじゃが。せいから搾る。
辛ぃ醤油ができるんじゃ。
二番醤油
せいからまだ、おばあさんはもったいない言ぅて塩を(更に)混ぜて二番醤油ゆうのをつくりょうた。
一回使ぅた麹を、それをもう一回使う。塩と水を足して。
(父の話)
麹は作る人によって上手なウチがあった。
一番醤油は味がええ。
二番醤油は辛いばあじゃった。味がねぃ。
2002年5月26日