西江原・興譲館高校の寄宿舎


昭和30年代の初めの頃の話。母方の実家に行くには笠岡から井笠鉄道に乗って七日市駅で降りていた。
真っ赤な日吉橋を渡り、まもなくして左折。興譲館高校の横を通って歩いていた。

辺りからは機織工場のジャンジャンジャンという音が、前から後ろから横から聞こえていた。

その道には木造の2階建ての建物が面していた。ある時、母に「あれは何なのか?」と聞いた。

母は「あれは寄宿舎で、興譲館には遠い山奥からも何人も来ていて、学校に通学できない人があそこで寝泊りしている。」と教えてくれた。



葡萄マラソンの葉書に道順が載っていて、それを見ながら車をすすめると早くも興譲館の前には案内人が立っていた。
車は興譲館の体育館の横をとおる、と。

すぐ右手に寄宿舎があった。
建物は当時と全く変わっていない。よくも変わらず残ってるものだ。と感心したり、あまりに懐かしく思ったりしながら左右を見る。

機織の音は聞こえないが、当時の風景・光景が思い出される。


まもなくして、道は広くなり一路青野へと山道を昇る。


2001年9月23日