第13期甲種飛行予科練生の日課 舞鶴鎮守府美保予科練
総員起こしで始まる日課は次の通り
| 05:55 「総員起こし五分前」 | 13:10 「課業始」 |
| 06:00「総員起こし」寝具納め | 13:20〜14:10 第四課業 |
| 06:20「朝礼」体操 | 14:25〜15:15 第五課業 |
| 06:50「食事当番手を洗え」 | 15:30〜16:20 第六課業 |
| 07:00「朝食」 | 16:30 「食事当番手を洗え」 |
| 08:30「課業始」 | 16:40 「夕食」 |
| 08:30〜09:30 第一課業 | 17:15〜20:15「温習」 |
| 09:45〜10:35 第二課業 | 20:45「甲板掃除」 |
| 10:50〜11:40 第三課業 | 21:00「寝具おろせ」 |
| 11:50「食事当番手を洗え」 | 21:15「巡検」 |
| 12:00「昼食」 | 21:50「消灯」 |
課業(授業)は精神訓話・通信・信号・手旗・航海・運用・数学・物理・陸戦・体操(海軍体操・マット体操・跳箱・棒倒し・騎馬戦・闘球・長距離走・)等の多技にわたって行われ、土曜日は月に一〜二回海軍独特の「甲板掃除」大掃除で、相撲の四股を踏むような姿勢で前屈みになり床を磨く辛い作業だったが他は自由時間だった。
朝六時起床に始まり洗面を終えると何人か集まると、先頭の者が指揮をしてを駆け足にて練兵場え行き点呼・海軍体操の後ち食事当番似外は、二十分間程の駆け足(軍靴を履いているので大変苦しがった)走っているうちに褌が前の紐から外れて片方のズボンの中に垂れ下がりこれにはまいった。
掃除・朝食八時に軍艦旗掲揚、八時三十分迄は温習(自習)課業始の五分前までには教場に着いて待機していなければならないので、その間の時間を見計って甲板練習生(海軍には艦・隊内には必ず甲板士官と甲板下士宮がいて、志気を高めると共に風紀を取り締まる役目で、大変権限があリ、怖れられていた)の号令で外に整列して教場まで駆け足(股を水平になるように上げる)で行く馴れるまでは大変辛かった。
朝の起床から就寝まで分刻みの日程をこなして疲れはてて、やっと就寝となるのだが、そうわさせてくれないのだ。
寝具の上げ、おろしでー日最後の「しごき」がある。「寝具おろせ」で急いで床を並べ廊下に整列して報告する。「寝具納め」で元のところに積みかさね報告する。これが数回も繰り返され冬でも汗ばむ程になる。「巡検用意」でやっ床に入る。
海軍独特の「巡検ラッパ」が低く、高く静かに鳴り響きその余韻がなんとも云えず海軍に籍を置いた者には心の奥に何時までも残っているいと一つだと思う。
「巡検!」と云う重々しい声が廊下から聞こる。誰が答礼するのか「第三十九分隊異常無し」当直士官が分隊長・分隊士・教員を従え、床に就いて息をひそめている練習生の様子を窺がい、室の隅々まで点検して行く実に厳粛な儀式と云うか、海軍が集団でいる処では毎夜行われ、巡検が終わり当直士官が兵舎を去るまでは水を打ったような静かな時が過ぎ眠ることが出来るのだが、時にはこれからまた「寝具納め」の号令がかり納め終え報告する、「遅いッ」とまたすぐに「寝具おろせ」の繰返しが続き、これを終えてやっと寝かせてもらえる。
一日の疲れがどっと出てすぐに寝てしまい、寝たと思ったらすぐと朝がやって来たようで次の日もまた同じ繰返しで忙しい日が過ぎて行った。
ーケ月後にはずいぶんと速く出来るようになり「シゴキ」も少なくなった。
作業衣を丸めて毛布の下に入れ枕のかわりにして床に就くと、やがて海軍独特の「巡検ラッパ」が静かに鳴り響き当直士官が巡回に来る。これでやっと眠りに就けるのだが、このラッパの音に多くの者が涙した云う。
2003年3月21日