我等は一路敵後方への進撃を目的に一路、大別山の堅山を越え、今山頂を降り立つのだった。
山は黄葉に彩られ、稜線は女性的になだらかに、もくもくと点在する民家。
いかなる芸術的な美で、入陸以来はじめて見る景色だ。公園のようだ。
どちらを向いても女性的な線。なごやかな景色を眺めつつ
日本の心地。日本の秋の美と比しても、天国の楽天のようだ。
小鳥の声、今までの疲れも吹き飛んで、美しい景色に見入れられ。
ああ中支も、このような綺麗な天地もあったのかと、右左をながめつつ
何年もこの地にて居たい心地せり。
漢口へ、漢口へ 大別山山峡にて 10月22日
2001年8月15日