大別山頂

先日来より降る雨。山また山。
合間の清水なめらかに音を聞き、内地のようだ。

今支邦大陸の大別山を今越えんとす。
ナポレオンのアルプス山脈越えにも比す。

米・食糧もなく、なんば、なんきんマメの粥と、塩だ。これで毎日の行軍進軍だ。

実に苦しい。

だが我が身体は君にささげたこの身体だ。ますます一路一路血の行軍だ。

一路岩壁・絶壁をすりぬけつつ、馬は千尋の谷間に落ち、落死するを見る時如何に惨たるや。
人も死ぬ、馬も傷つき。

工営隊の先輩が、道無き道に作った道をわれ等も足元に充分気をつけながら行く。
いっぽ一歩前進した。

1938/10/26・大別山上にて


談・2001年8月15日

なんじゃゆうて、こうなんじゃ。(手でその角度を示す)

馬はころげて下へ落ちる。人間も落ちて死んだんもおる。

路は細ぃじゃけいのう・・・滑ったら落ちる。落ちたら死んでしまう。
よう、こわぁとこを通るねぃゆうとこじゃ。

せいじゃけい、普通なら通らん、きょうとぉて。

命が惜しいけぃとおる。独り残されたらやられてしまうけぃ。
みんなの勢いでとおる。しょうしょう馬やこが落ちても・・・人間だけでも、で、通ぉていきょうた。


その頃は身体もようよろいごきょうた。 関連リンク・大別山の食糧不足


  



2001年8月15日