雨天の中、こうざんけん城に入城した。
信陽攻略の要所だ。
空爆の跡を見る。高層な健築物は無く、ただ外部の一部一部を残すのみ。
その他は整然として聳える○○堂、そして繁華街は昔をしのばせるおもかげは語っているようだ。
あちらこちらの家陰、木陰に、支邦軍部隊の死体がわれ等の目にはいる。
我等は降りつつ雨の中気合をいれつつ、戦闘の戦果を納めつつ意気洋々と入城したのだった。
思えば徐州出発以来、いかなる雨天に悩まされつつ、悪天候と戦いつつ、あの日この日も休み無く。
血の攻撃、実戦悪夢。
敵の攻撃、悪戦苦闘で、今ようやく、光山懸へ入城するのだ。
その雨につけ、照るにつけ、思うのは故郷のことだ。
朋は、姉妹は如何に。
だがそのような実に恥かしい。
ただ戦闘の束の間にちらつくホンの一瞬だ。
今はこうざんけんに入城する。後6日で我が氏神様の祭典だ。
ありがたき神様のご加護により生き長らえていることを誓って今日を休む。
1938・9・25(光山懸城内にて)
2001年8月5日