10キロ



10キロは激戦が予想された。



石本は本気で勝つ気でのりこんできているようだった。
平木は上潮のままいっきに頂上をめざす勢い。
村田はおちついて二人を料理する雰囲気。



石本は前泊を都合で、できなかったが、それは「勝つ気」のためだといわれていた。

平木は若さを前面に出し、仕事では後輩だが、走りは「TOP」、それを狙っていた。

村田は経験から一見余裕。だが、前夜の酒をいくぶん控えレースでの圧勝を期していた。


三人はそれを口にすることなくスタートを迎えた。



10キロのコースは周回で7.5キロ〜10キロまでは5キロ折り返しと同じコース。その道は昨年、村田・石本は経験している。地獄の登り坂がある。それは走ったことのない平木にはわからない。この大会は「マラソン大会」ではなく「クロスカントリー大会」なのだ。


号砲。

村田・石本・平木、みつどもえ。

コースはいきなり下り坂。
それはえんえん中間点まで続く。

だが、平木はスタート1キロ前後で二人に離されてしまった。




いったん離されると、そこからは平木の一人走り。

さらに平木を待つのは下りを過ぎて、折り返し点から始まる地獄道を登るだけ。


平木を無視体制になった村田・石本は相譲らず走る。

村田、中間点をTOPで走る。

6キロ付近で石本、前にでる。

村田、50Mと遅れず離れず追う。


残り1キロ付近の心臓破り、角度60度はあろうかという急峻な登り道。
そこで村田は石本との差を10mにちじめる。


だが・・・。

登りきった村田の前には。
既に石本は、はるか前方を走っていた。


石本、村田を引き離しながら一気にゴールへ。

ついにKSDライダーズクラブのチャンピオンの栄冠を仕留めた。

村田、石本の背をみながらの距離差ではあったが、二位でゴール。



さらに数分以上の大差で平木がゴール。
2月の福山マラソンの自己タイムを9分以上遅れてのゴールインであった。

「帝釈峡地獄の戦い」を一人芝居で演じる結果となってしまった。



2002年5月24日