第16期予科練・福岡生
入隊して、数ヶ月を経過しているのであるが、福空での、教育練成で、特に、叩きこまれたことは、予科
練魂(予科練の歌、若い血潮にある、攻撃精神と、体当たりの精神)であり、滅私奉公、死を恐れない精
神、肉弾攻撃の精神と言った今考えると,猛々しいものであった。
勿論、志願入隊に当たっては、国家危急存亡の時節に、滅私奉公の覚悟は、持って入ったのであるか
ら、それらの、指導練成は、当然のことと受け入れていた。
ただ、特攻で散るにしても、犬死はしたくない、何らかの成果をあげて死するのなら依存は無いと言った
気持ちが心中をよぎっていた。
そして、もう一つ、願望しつづけたことがある。死に赴く前に、軍装姿で、母に一目会いま見えて、別れを
告げて、死地に赴きたいと言ったことがある。
当時、数え年 一六才の、年端の行かない少年がと、不思議に思はれるかも知れませんが、当時の、わ
が国の大方の国民には、理解が出来た常識的なことであったのです。同期生の大部分の者も、似たよう
な心境であったことを、戦後の同期生会等で吐露している。
2003年3月23日