日本人は殺されるから一部屋に集まろう


天皇の玉音を聞いたら、もう日本人は全員殺される。

ロシアが明日やってくる。ロ坊主(ろぼうず)ゆうてようた。
ロシアがきたら、女性は全員出ていったらいけん。

頭は坊主にして、顔に炭(墨?)を塗って。

社宅をくりぬいて、一部屋にして。
畳をあげて下に隠りょうた。

鈴をつけて、鈴が鳴ったら「女はみんな隠れろ。」
床の下に隠りょうた。

あるものは全部盗られた。
腕時計まで取られた。

ロシア兵の下っ端がそういう事をした。
上のえらい人、ゲーペーウー。そういう人はしなかった。



石炭箱に隠れたり、下っ端が怖かったけぃなぁ。

2002・4・30


昭和20年8月9日零時ごろ、ソ連極東軍は各方面から国境を越えて、満州へ侵攻した。

その兵力差はおおざっぱにみて関東軍の20倍であった。「満州国と関東軍」より。


時計はもとより、会社の机・椅子・えんぴつ・消しゴム・・何から何まで奪われた。
奪われなかったのは日本の書物くらい。

それで大事なものは本の中をくりぬいて隠した。たった一つの隠し場所であったという。

50を越える工場からめぼしい機械・発電機・ボイラー・変圧器が根こそぎ徴収された。
軽金属工場などは壁と電気が残っただけと言われた。
要は満州の産業施設の4割が持ち去られ、4割が破壊されてしまった。

「ソ連が侵攻した夏」





2002年5月2日