冬休みになると吉本には奴凧が店にあった。 奴凧は10円した。それを買って新聞紙をハサミで細長くちょん切り尻尾を貼っていた。 尻尾は長くするとより高く揚がる、それはわかっているが。 ひこずって道をあるいているうちに目的地手前でちぎれる、また右左不ぞろいの長さになってしまう。 だから尻尾の長さにはいつも悩んでいた。 奴だこは天まで揚がらない。 風があっても、風が無くても。 くるくると舞い落ちてトウガキ畑に墜落していた。 尻尾が切れるのはまだよいほうだった。 凧が、剪定が終わったトウガキの枝に刺さり破れていた。 冬休みの奴だこはいつも正月まではもたなかった。 |
|
![]() |
米粒ひとつの話 ある冬休みの日、同級生の家。 新聞紙を切って奴凧の尻尾を貼っていた。 指につけたすこしの米粒をつかい二人で貼っていた。 それを見ていたお爺さん「米粒は一つ以上使ったらいけん。」 おじいさんは、一ヶ所貼り付けるのには米粒いっこで十分、かつもったいないという感じであった。 僕はだいたい米粒一粒半で貼っていた。 お爺さんの忠告はアリガタク・キビシイものであった。 だから今でも覚えている。 |
2002年6月23日